コラムコラム

第8回 ママズ・フィッシュ・ハウス

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ハワイで一番好きなレストランは?と聞かれたら、僕は迷わず‘ママズ・フィッシュ・ハウス’(Mama’s Fish House)と答える。

そのレストランはマウイ島のカフルイからハナ・ハイウエィを東に向けて走り、パイアの町を抜けたホオキパ・ビーチ手前に位置する。左手に見えてくるMama’s Fish Houseと書かれた看板代わりのフィッシング・ボートが駐車場に入る目印だ。そこはマウイ島北海岸の雄大なパノラマが望める高台にあり、ホオキパ・ビーチからエントリーしたウインド・サーファー達のライディングも見ることができる。

このレストランは以前、地元の人達の隠れ家的存在だったが、現在は美しく洗練された外観に生まれ変わり、いつも観光客で賑わい、バレー・パーキングの駐車係も忙しく走り回っている。しかし一歩レストランの敷地内に足を踏み入れれば昔から変わらない風景が広がっていて僕を安心させてくれる。それはココナッツ・グローブが作り出す心地よい日陰と美しい白砂のビーチだ。

この‘ママズ・フィッシュ・ハウス’を知ったのは、十数年前。マウイ島の観光ドライバーから教えてもらったのをきっかけに、それからどのくらい通っただろう。マウイ島に滞在するときは必ず1度は訪れ、また‘ママズ・フィッシュ・ハウス’で食事をする為にオアフ島からわざわざ日帰りで来たこともある。

外の強い日差しと対照的な薄暗い店内は、いつものゆったりとしたハワイアン・ミュージックが流れ、網戸になっている窓からはマウイ北海岸の冷たい爽やかな風が吹き込んで実に心地よい。板張りの壁はハワイアン絵画やシェルのインテリアで飾られ、いたる所にジンジャーやアンスリウムなどの生花がアートの様に生けられていて、オールド・ハワイアン・スタイルの落ち着いた雰囲気を作り出している。

新しく作られたバーコーナーは、昔のティキ・バーの雰囲気漂うインテリアでガラスのフィッシュ・フロートが天井から吊り下げられていたり、アンティークの籐家具やランプが各所に置かれている。レストルームにも古いポスターや生花が品良く飾られていたりと、細かい場所にまで気配りがなされているのも嬉しい限りだ。

メインダイニングでは各テーブルに熱帯の花が可愛らしく生けられている小さな花瓶が青いタパ柄のクロスの上に置かれている。それは初めてこのレストランを訪れた時からいつも同じで、訪れたというより戻ってきたという感覚にさせてくれる。テーブルに置かれたワイン・リストは50年代の豪華客船マトソン・ラインのハワイ航路で使われたサベージのイラストのメニュー・カバー。実に心憎い演出だ。

オーダーを済ませると最初にテーブルに出てくる自家製パンが美味しくて、あっという間に食べ終えてしまう。もちろんマウイ産の野菜とともに、ハワイアン・スタイルを取り入れたオリジナル・ソースでいただくメインの魚料理はとても美味しい。盛り付けひとつをとってもハワイの雰囲気を感じられて、舌も目も満足させてくれる。

僕が初めてこのレストランに入ったときピータームーン・バンドの‘Maori Brown Eyes’が耳に飛び込んできた。僕の大好きな曲だった。この第一印象で僕が直ぐにこのレストランに馴染んだことは言うまでもない。

美味しい料理、ゆったりとしたハワイアン・ミュージック、爽やかな風、ヤシの木に囲まれた白砂のビーチ。これらの全てが揃うレスランはハワイどこを探してもなかなか見つけられるものではないと思う。僕にとっていつまでも変わらないであり続けてほしいレストランだ。