コラムコラム

第12回 ハマクア・コースト

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ビッグアイランドの東海岸ハマクア・コーストを訪れると3回に1回はどしゃ降りの雨に見舞われる。 ハマクア・コーストの古い橋

ヒロの町が霧雨でも、ハマクア・コーストを走る220号線を北上するにつれ、雨の激しさが増してくる。ワイパーをフル回転させても前方が見えないことがよくあるが、この激しい雨もハマクア・コーストを離れ、霧にかすむパーカー・ランチを過ぎ、島の西側に辿り着くと、先ほどの豪雨がうそのように突然目の前に晴れ間が広がってくる。

雨のヒロを後にして島を南側に下り、オールドタウン・パホアあたりまで来ると、いつの間にか天気は回復し、海沿いのカイム、カラパナでは快晴となる。このような地域ごとの劇的な天候の変化を短時間で体験できる場所は、ハワイでもビッグアイランド以外にはないと思う。

ハマクア・コーストは、この雨の恵みで熱帯の樹木や草花が生い茂り、熱帯雨林を作り出している。豊富な水量はジャングルの間を滝となって流れ落ちる。僕はその美しい光景を見るのが好きで、何度もハマクア・コーストに足をはこんでいる。オノメア、ウマウマ、カフナなど、ハワイで名の知れた滝が多く、落差150mの美しいアカカ・フォールズは、ハワイアンソングの中で歌われていて、最も有名だ。

ハマクア・コーストに架かる多くの橋から、山側に滝を見ることができるポイントがいくつもある。中でもナヌエ・ブリッジから見られるナヌエ・フォールズの景観は、僕の一番のお気に入りだ。ここからの景色は息を呑むほど素晴しい。谷の奥に落ちる美しいナヌエ・フォールズの周りにはヤシの木がびっしりとひしめき合い、赤いアフリカン・チューリップの花が緑の中に色をつけている。まるでバリ絵画に描かれている完璧な細密画のような風景を見ることができる。

車で走り、渡ってきた数々の橋も、内陸の違う角度から眺めてみるとハマクア・コースとの景観に溶け込み美しい。太平洋の青い海をバックに220号線に架かる高架橋を見られる場所も僕のお気に入りだ。

ラウパホエホエのサインをみながら海に向かって細い道を下っていくと、ハマクア・コーストの切り立った海岸線が見渡せる、ビーチ・パークにたどり着く。ここは以前、大津波に襲われ多くの犠牲者を出した場所だ。現在では民家はほとんど津波の届かない高台に建てられている。誰もいないビーチ・パークに立つと悲しい歴史を肌で感じてしまう場所だ。

ホノルルからヒロに向かう飛行機では進行方向の右側に席を取る。ハマクア・コーストの風景を眺めるためだ。マウナ・ケアを右手に見ながら北側から回り込み、高度を下げハマクア・コースト沿いを飛行しヒロ空港に着陸する。空から眺めるハマクア・コーストには、車で走っていると気が付かない場所に数多くの川と滝が存在しているのがわかる。切り立った崖から海に落ちる滝も必見だ。

ハマクア・コーストの熱帯ジャングルの風景は、僕をますますハワイの虜にする。日本人の僕にとって滝や渓谷は子どもの頃から馴染みが深く、この風景はどこか懐かしく癒されるのだ。そして、ナヌエ・ブリッジから壮大な熱帯ジャングルを見るたびに、自然の偉大さと大切さを肌で感じることができる。