コラムコラム

第22回 鯨の町

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以前、僕はマウイ島ラハイナのギャラリーで見つけた一枚の絵に心惹かれた。鯨の壁画で有名な画家、ワイランドが描いた「マウイ・ムーン」というタイトルの大きな油絵だ。

フルムーンの夜、ラハイナ沖を泳ぐザトウクジラの親子が描かれた幻想的な絵で、この絵を見ていると、絵の中に引き込まれていくような感覚になり、鯨の歌が頭の中で反響しているような錯覚を覚えるのだ。

僕はマウイ島でホエール・ウオッチングをするのが好きで、冬の時期にマウイを訪れる時は必ず双眼鏡を持って行く。毎年12月頃から出産と子育てのためにアラスカ沖からザトウクジラ(Humpback Whale)がハワイにやってくる。そして4月には再び北の海に帰っていく。そのマウイ島周辺ではあらゆる場所から鯨を見ることができる。

有名なポイントはホノアピイラニ・ハイウェイをラハイナ方面に向かう高台のマクレガー・ビューポイントだ。冬の鯨が見られる時期になると双眼鏡を持った観光客で展望台は混雑する。このポイントからザトウクジラを見ることのできる確率はかなり高いと言われていて、実際僕もシーズン中は、今のところ100%の確立で見ることができている。

でも、鯨を少しでも近くで見て、あの大きさと迫力を感じるためにはやはり船で行くホエール・ウオッチング・ツアーが一番だ。多くのツアーがラハイナ・ハーバーから1日何回か出航している。2時間余りのクルージングはレーダーで鯨を追跡しながら進むので、何回もこのツアーに参加している僕でも鯨を見られなかった事は一度もない。

ザトウクジラは様々なパフォーマンスを見せてくれるので楽しく飽きない。ブロー(潮吹き)で鯨を見つけてからベックスラップ(胸ビレで水面をたたく)、テールスラップ(尾びれで水面をたたく)やブリーチング(高くジヤンプし、体を水面にたたきつける)など間近で見ることができた時は船の上は歓声と拍手で興奮のるつぼと化す。

ザトウクジラは歌を唄うといわれ、その歌は求愛の歌と呼ばれる。クルージングではマイクを海中に入れて船上のスピーカーから鯨の声を流してくれ、初めて鯨の歌を聞いたとき、とても神秘的な感じがしたのを憶えている。今では波静かな夜、マウイの海を見ていると鯨の歌が響き渡っているのではないかと思うようになった。

昔、捕鯨で栄えたラハイナの町も今では鯨の保護とホエール・ウオッチングの拠点となっている。鯨に関した絵や雑貨などでもさまざまな鯨に出会うことができる。 昔から鯨をモチーフにした雑貨を売っているフロント・ストリートの「ホエラー」という店ではいくつもの可愛らしい鯨のグッズを買ったことがある。これらの鯨グッズはお土産にしてとても喜ばれていた。

ラハイナのシンボルでもあるパイオニア・インのオープンカフェが以前、鯨を取る銛など捕鯨に使われていた道具をディスプレーした「パープナーズ」という店名だったことを思い出した。やはりラハイナは鯨の町なのだと実感した。 僕は、いつまでも鯨の歌が響き渡るマウイの美しい海が永遠であればいいと願っている。

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