コラムコラム

第32回 WAIKIKI

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WAIKIKI美しいメロディーをもつ曲‘ワイキキ’(Waikiki)が僕はとても好きだ。ヴァースから‘ワイキキ~’と入っていくところがたまらない。サビのコード進行もいい。この曲はアンディ・カミングス(Andy Cummings)が1938年にメインランドに滞在中、故郷を思って作った曲で現在までに数多くのミュージシャンに取り上げられている。

僕が好きなテイクはロドニー・ロペス(Rodney Lopez)の‘ワイキキ’だ。とってもソウルフルに歌い上げていて、かつサビは繊細で優しい。このロドニー・ロペスの歌う‘ワイキキ’は‘Waikiki Then and Now’というワイキキの歴史を追ったビデオのオープニングとエンディングのテーマに使われている。ビデオは日本語のナレーションがあり、英語バージョンは‘Waikiki Yesterday’という。このビデオは貴重な写真や映像がふんだんに使われていて、わかりやすくワイキキの歴史を知ることが出来る。このビデオを見て以降、観光客でごった返しているカラカウア通りやワイキキ・ビーチを見ていても、古き良きワイキキの映像が脳裏に残っていて、なぜかロマンティックな気持ちになってしまう。

今から一世紀ほど前、波静かな月夜のワイキキ・ビーチとはどのような雰囲気だったのだろうと思った。そして僕は美しいハワイアン・ソングのバラード‘レイ・ノ・カイウラニ’(Lei No Ka’iulani)を耳にしたとき、その歌の中に風景のイメージを見出したのだ。

1962年にリリースされたサンズ・オブ・ハワイのアルバムでギャビー・パヒヌイが、24歳の若さでこの世を去ったプリンセス・カイウラニに想いをこめて情緒たっぷりに歌っている。月夜の夜、ワイキキのビーチで美しい少女プリンセス・カイウラニがたたずんでいる様子を僕は何度となく想像してみた。
カイウラニの別荘があった場所は現在、プリンセス・カイウラニ・ホテルが建てられていて、常に観光客でごった返している。ロビーの一角にあるカイウラニの肖像画はこの場所の現在の姿をどのように見ているのだろうか。自分が過ごした王朝時代の静かなワイキキとのあまりの違いに戸惑っているだろうと思う。

モアナ・ホテルの中庭、バニヤン・コートヤードから全世界に向けて生放送されていたラジオ番組‘ハワイコールズ’(1937年~78年)は太平洋の真ん中の小さな島にあるワイキキ・ビーチを世界で一番有名なビーチにした。聴視者は波の音を聞きながらヤシの木の下でくつろぐといった夢を見ながら、南の島ハワイのイメージをいっそう鮮明にし、憧れにしていったのだ。いつの日かハワイのワイキキ・ビーチに行ってみたいと。僕もCDになった‘ハワイコールズ’のライブを聴いて当時のワイキキに思いを馳せている一人だ。

‘ハワイコールズ’がワイキキの発展にかなりの役割を果たしたのは言うまでもない。ワイキキの古い写真を集めた写真集も数多く出版されている。 ‘Aloha Waikiki’は1886年から1970年までの期間のワイキキの移り変わりを写真で紹介している。‘Waikiki Yesterday’は1800年代から1950年代までの貴重な写真が豊富に紹介されている。カラカウア王、プレンセス・カイウラニ、ロバート・ルイス・スティーブンソン、ジャック・ロンドンなど、当時のワイキキを語る上で欠かせない人たちの写真も載っている。これらの本で見たモアナ・ホテルに1930年まであったピア(桟橋)は美しかった。

ハワイに行くと誰もが必ず訪れる場所、ワイキキ。時代は移り変わり高層ホテルが立ち並んで観光客で賑わいを見せる現在のワイキキも随所にオールド・ワイキキの雰囲気を残す場所が未だに存在している。
だから僕はワイキキが好きである。

◆ヒロクメさんのHPはこちら
http://www.hilokume.jp