コラムコラム

第33回 TAHITI NUI

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カウアイ島の北海岸のオールド・タウンに‘タヒチ・ヌイ’(Tahiti Nui)という小さなレストランがある。1930年代、‘ドン・ザ・ビーチコマー’(Don the Beachcomber)のオープンを皮切りに次々とハワイ、メインランドを中心に、ポリネシアン・カルチャーをテーマにしたレストランやバーがオープンし、ティキをモチーフにしたエキゾティックな楽園のイメージで、アメリカ人観光客に人気を集めた。これらのレストランやバー・ラウンジを‘ティキ・バー’と呼び、その中でも有名なのが、インター・ナショナル・マーケット・プレイスとキング・ストリートにあった日本にも支店のある‘トレーダー・ビックス’(Trader Vic’s)やシェラトン・ワイキキにあった‘コン・ティキ’(Kon Tiki)などである。最近では、当時の店名入りマグカップなどのグッズがコレクターズアイテムとしてレプリカも数多く出回るほどの人気だ。

ティキ・バー人気のきっかけになったのは2000年に出版された「The Book of Tiki」というティキ・バーの歴史やグッズを紹介したティキ・カルチャーを初めて扱った本だった。

しかし、ハワイでは、ほとんどのティキ・バーが80年代末までに閉店してしまい、この本で紹介されているものはハワイでは現在見ることが出来ない。インターナショナル・マーケットプレイスの閑散としている2Fのスペースに、かろうじて残っている‘トレーダー・ビックス’の看板を見ていると、当時の賑わいを懐かしく思い出してしまう。
また、数年前に閉鎖した、‘ワイキキアン’(Waikikian)というポリネシアン風ホテル
にあった‘タヒチアン・ラナイ’(Tahitian Lanai)は、開発の進むワイキキ地区で最
後のティキ・バーだった。ここの閉店によって、ひとつの時代の終わりを感じずにはいられなかった。

この店の柱に使われていたティキのトーテンポールはオアフ島の、古い老舗レストランが引取り、現在はエントランスの柱として使われている。

カウアイ島の‘タヒチ・ヌイ’は現在ハワイでわずかに残る‘ティキ・バー’のひとつであると言える。外見は何の変哲もない小さな店だがメインランドでは有名誌やTVなどで紹介されるほどの、カウアイの有名店だ。ティキ・バーと呼ぶ理由は、看板のティキのロゴ、木彫りのティキ・バー・ストゥール、バー・クロスなど、1960年代のオープン以来、そのスタイルを守り続けているからだ。世紀も変わり、ティキ・バーが再び注目を集めるようになり、2003年には世界のティキ・バーやエキゾティックな雰囲気のホテルやレストランなどを紹介した「Tiki Road Trip」という住所入りの本(英語版)が発行された。もちろんタヒチ・ヌイも紹介されている。ロイヤルハワイアン・ホテルの‘マイタイ・バー’(Mai Tai Bar)もティキ・バーとして紹介されているのも面白い。ハワイには少ないが、メインランド、ヨーロッパなど世界中に数多くのティキ・バーがあるのには驚いてしまう。2002年にはワイキキのホテルに、ティキ・バー形態のレストランがオープンし、店名も‘ティキズ・グリル・アンド・バー’(Tiki’s Grill & Bar)と名づけられた。この現象はオアフ島だけに留まらず、マウイ島キヘイにも2004年に‘サウス・ショア・ティキ・ラウンジ’(South Shore Tiki Lounge)がオープンし、ライブ演奏も入り毎晩盛り上がりを見せている。これからますますエキゾティックな感覚を持ったティキ・カルチャーがブームになり、ハワイを中心に盛り上がっていくだろう。僕の個人的願望であったドン・ザ・ビーチコマーがカイルア・コナで復活したのは嬉しいかぎりだ。

◆ヒロクメさんのHPはこちら
http://www.hilokume.jp