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第11回 TMTの建設許可、正式に却下される

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(出典:Ameri Publications)

2015年12月2日(現地時間)、ハワイ州最高裁判所は、ハワイ島マウナケア山で起きている巨大望遠鏡建設問題につき、2013年にハワイ州土地天然資源委員会によって出された建設許可は無効であると判断を下しました。つまり、TMT建設は、ハワイ州の法の下に、正式に振り出しに戻ったのです。

TMT計画の草案が芽吹いたのは、今から15年ほど前のことです。2009年にハワイ島マウナケア山が建設地として採択されると、2010年には有識者との協議の下、TMT建設は文化的にも環境的にも問題はない、と判断されました。そして2011年、ハワイ州土地天然資源委員会はTMT計画に対し、マウナケア山頂の保全地区の土地利用許可を与え、2013年には建設許可も与えました。

建設は2014年10月に開始される予定でした。しかし、現地のハワイ先住民を中心とする建設反対派によって起工式は中断され、それからの約1年、建設側と反対側の衝突はマウナケア山で繰り返し起こりました。建設推進側の州政府は、メディア規制や登山規制など、様々な条例をつくる事によって反対派をマウナケア山から排除しようとしました。そのたびに、多くの逮捕者が出るだけではなく、多くの人の心が傷つけられてきました。

建設に反対する人たちは、ハワイ州最高裁判所に、2013年に出された建設許可の承認手続きに対する妥当性について異議申し立てをしていました。その結果が、12月2日に出たのです。

ポイントは、「公平性」でした。ハワイ州最高裁判所は、建設許可をめぐる手続きが開始する前の段階で、現地の人の意見をくみ取る公聴会が行われていなかったという公平性の欠如に着目し、建設許可を却下しました。

ただし、この判決では、TMTプロジェクト自体が白紙に戻ったわけではありません。TMTのプロジェクトチームは、建設再開に向け、再び建設許可を取り直すために必要な手続きの準備をすでに始めていると公表しています。

太古の昔から、宇宙は常に人を魅了してきました。TMT建設は一時的に休息を迎えたにすぎません。雪の女神ポリアフの棲むマウナケアに、本当の平和はいつ訪れるのでしょうか。

 

<参考>

国立天文台TMT推進室

http://tmt.nao.ac.jp/info/525