コラムコラム

ハワイのソウルフード「ポイ」の話

このエントリーをはてなブックマークに追加
カウアイ島に広がるポイ畑 (Photo: Kuni Nakai )

 

E komo mai e ‘ai「どうぞ中へ入ってください。一緒に食べましょう」

昔、ハワイ人は自分の家の前を歩いている人に、知らない人にも、気前よくそう言うのが習慣でした。しかし、多くのことわざや逸話にはその習慣を守らない人、けちな人も登場します。
例えばカメハメハ一世に関する逸話。
王はある時幾人かの農夫と物々交換の約束を交わしました。彼らがポイ(=ハワイ人の主食である潰されたタロイモ)を持って来ればそれを魚に交換すると王は約束しました。
しかし、農夫たちを代表してカホロワホが多くのポイを持って行ったのに、王から貰ったのは魚一匹だけでした。それが数回繰り返されたのでカホロワホは小さなタロイモの入った容器だけを王に渡しました。それを見た王は笑い、自分が悪かったと認めました。その時から王は良心的に交換するようになったといいます。

神話にもタロイモの話が出てきます。
ハワイの空を支配する神ワーケアと母なる大地パパの間に一人の娘が生まれました。ワーケアは大人になった娘を誘惑しましたが、娘が生んだ子供は死産でした。夫の浮気、近親相姦を知ったパパは怒ったものの、子供にハーロアという名を付けて埋めました。その子から最初のタロイモが出てきました。ワーケアと娘の間にはもう一人の子供が生まれ、この子もハーロアと名付けられました。この子が全てのハワイ人の祖先だそうです。
ちなみにハワイではかつて、食事中にポイの前で商売の話をしてはいけませんでした。そんなことをしたら商売が失敗に終わると信じられていました。また、ポイを捨てることも駄目でした。なぜならハーロアが怒ると信じられていたのです。

一方カウアイ島には、火山の女神ペレの風に関するチャントにこんな歌詞があります。
E lawe i ke o, he hinana ka i’a kuhi lima「野菜を持って行きなさい。魚は手で採れる」

これは「旅に出発する時にはポイと野菜だけ持って行けばいい。途中でどこかで魚を手で採ればいい」という意味です。旅の途中に魚、あるいは肉が手に入らなくても、ポイに少しの塩をかければ美味しく食べられると昔からよくいわれたそうです。

ハワイ人はポイと一緒に食べる野菜を「陸の長い毛のもの」、そしてポイと一緒に食べる海藻を「海の毛の長いもの」と呼んでいました。また、無知な人は「ポイの入っていない容器」と罵られたといいます。
かつてはポイを食べる時、ナイフやフオーク、スプーンを使わず、指で食べていました。「一本指のポイ」と「2本指のポイ」という表現があります。これは(ポイの粘り気が)濃い場合は指1本ですくえる。やや薄い場合は指2本ですくえるという意味でした。

ポイは歌にも登場します

ポイは現在のハワイでも欠かせない存在であることは、ハワイの歌の歌詞からも知ることができます。

最近とてもヒットしたジョン・クルーズ作の歌「Island Style」には
“You know my grandma, she like the poi real sour「知ってるかい? 婆ちゃんの美味しいポイサワー」
という歌詞が出てきます。
また、ライアテア・ヘルムは、プアケア・ノーゲルマイヤーが作曲した歌「Poi ‘Awa‘awa」を歌っています。これは「酸っぱいポイ」という意味です。プアケアはこの歌でポイがどんなに好きか、そして美味しい食べ方を薦めています。
テレサ・ブライトが歌うのは「Eating of the poi」。1888年にリリースされました。長い歌詞の中には「アイルランド人が食べるジャガイモは、ポイと比べものにならない」「ポイを食べる時の道具は指。時々指1本、時々2本、3本の指も必要な時がある」とあります。
ファストフ―ドが嫌いになったショーン・ナアウアオは「Fish and poi」という歌で好きなハワイの食べ物について歌っています。
I like my fish and poi. I am a big boy「僕は魚とポイが好き。僕は今大きな青年になった」。「母親のpoi mochi (ポイ餅)が忘れられない」とも歌っています。
ポイはアレルギ―を起こす可能性がとても低いので、ミルクを加えて離乳食として食べさせる親もいるそうですよ。
(文責:エギル・マグネ・フセボ)

※文字化け防止のため、「 ¯ 」(カハコー)の表記は省略しております。ご了承ください。