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【フセボ先生ハワイ小噺】銘木の王座、兵士と歌

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イオラニ宮殿王座の間。

 

作家の司馬良太郎によりますと、室町期からここ数百年、日本建築での銘木の王座は杉で、伊勢神宮や京都御所には総ヒノキだけが使われています。明治以降の成金のヒノキ普請の屋敷は、自分が栄耀栄華を得ているということの公然たる証である、と氏が書いています。一方で「杉は古くから庶民の材である」とも。

ハワイ人に欠かせない材木、植物はたくさんあります。家はピリと呼ばれる草で作られ、主食はずっとタロイモでした。ハワイ人の身に着ける衣装は、ワウケ(桑の一種)の皮から作られていました。ピリ草もワウケも貴族の材であり、庶民の材でもありました。

ハワイの銘木の王座という話になると、最初に頭に浮かぶのはアカシ科のKOA(コア)の木でしょう。これはハワイ一大きい立派な木で、カヌ-に最高の木材といわれています。初めてハワイにやって来たポリネシア人は、板を縄で結んだイカダのような船に乗っていたと思われています。彼らはコアの森を発見し、一本の木から立派な長いカヌ-を作ることができるようになりました。

 

王座と言えば、ホノルルのダウンタウンにイオラニ宮殿があります。人気歌手で作曲家のエイミー・ハナイアリィ(Amy Hanaialiʻi Gilliom)は、曲の中でこの建物を“涙の宮殿”と呼んでいます。最後の女王リリウオカラニが、そこでク-デタ-によって倒され幽閉されたのでそう呼んでいるのです。この宮殿の立派なコアの床、階段や壁は見物です。

現在ハワイ州知事が住んでいる元リリウオカラニの家、ワシントン・プレイスでは彼女が使っていたピアノを見ることができます。このピアノは全体がコアの木でできています。

 

ハワイの兵士もこの木にたとえられています。兵士、戦士を意味する「koa」はこの木の名前に由来すると言われています。『Nā Koa Kaulana O Hawaiʻi』(ハワイの有名な兵士たち)という曲があります。作曲家ジョン・K アルマイダは、この歌でハワイ州兵の勇気と知恵を賞賛しました。

フランク・ヒュ-エットはアフガニスタン戦線に招集された兵士たちのために歌『Pule No Nā Koa』(兵士のための祈り)を作曲し、歌の中で無事に帰国できるようにと願っています。兵士だけではなく、あらゆる立派な人が木にたとえられています。人気歌手で作曲家のトニ-・コンジュゲ-ションは、『Kana’e o Ka Pua』の中で、カナ・エという名の男をモマの木(サフラン)にたとえています。

 

ハワイには、こんな古いことわざがあります。

“コアの木のように長生きしましょう”

 

皮肉なことに、コアの木は絶滅に瀕しています。