コラムコラム

【フセボ先生ハワイ小噺】愛の象徴でもあるサメが登場する名曲

2019.07.23
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ハワイ島ヒロにあるモクパパパ ディスカバリーセンター。実物大の鮫の模型などが展示されている。

 

ハワイ人は昔からマノー(サメ)に畏敬の念を抱いていて、当然のように歌にも踊りにも、神話にも登場します。フラ・マノーでは踊り手は座り、楽器は使われていませんでした。面白いことに、歌詞にも登場するサメと植物ウィリウィリは、愛を象徴しています。この植物が咲く時期はサメの交尾期でもあるため、愛の象徴になったと思われています。「サメに咬まれた」は「恋に落ちた」ことを意味します。

 

ハワイ語辞書の編纂者として知られるメリー・カヴェナ・プクイは、「カメハメハ一世は太平洋のライオンと呼ばれているが、彼や彼のおじ(カラニオープウ王)にはサメの方がふさわしい呼び名だ」と記しています。チャント『Fallen is the Chief(王が死んだ)』では、カメハメハは島々を征服したシャークにたとえられています。(参考:Mary K. Pukui: The Echo of Our Song/University of Hawaii Press)

 

イルカが直立して後ろへ泳ぐのをテレビ等で見たことがある人は多いと思いますが、サメが直立して歩くのを見た人はいないでしょう。ハワイの伝説には、そんなサメが出てきます。チャント「カ・マノー・ヘレクー(直立して歩くサメ)」は、火山の女神ペレの兄で、サメに変身する魔力を持つカモホアリイが、ペレと、その家族や友人たちを乗せたカヌーを無事にハワイへ導く物語です。

 

ハワイでは、人間が死ぬと、その魂は島の決まったところからあの世に飛ぶと信じられていました(今も信じる人がいます)。善人は氏神になり、悪人は氏神たちに歓迎されず、幽霊のようにさまよいクモや毛虫を食べます。自分の氏神は家族を守ります。生き物に変身する氏神もいれば、石、あるいは植物に変身する氏神もいます。サメに変身する氏神はなぜかカウアイ島にだけは現れないそうです。

ウィリー・Kのアルバム『リフレクションズ』に収録されている「ノエ・ノエ・ウア・ケア・オ・ハナ」は、何人かの漁師がモクマノー(サメ島)で一頭のサメと出会ったことを語っている歌です。嵐が近づき、リーポア(海藻)の香りが漂います。その時サメの頭がカヌーの船首に寄りかかったので漁師たちはサメに餌をやり、励ましました。彼らにとってサメは氏神です。

 

広く知られている歌「Pearly Shells(真珠貝の歌)」にはサメが登場しませんが、元のハワイ語の歌には登場します。ハワイ語の曲名は「プープーアオ・エヴァ(エワ地方の貝)」で、プ・ウロア(真珠湾)で人間をサメから守ってくれる親切なサメの女神、カアフパハウを歌っています。

 

世界には250種類のサメがいますが、ハワイの40種類の内の8種類だけ海岸近くで見かけられるそうです。Pygmy shark(小型サメ)が約5センチで一番小さく、一番大きいものは15メートルもあり、Whale shark(鯨サメ)と呼ばれます。Tiger sharkが一番危険で、いわゆる「人喰いザメ」の一種です。

 

今ハワイで“シャーク”と呼ばれている人間は、依頼人に膨大な金額を請求する弁護士です。このサメにも気をつけましょう。