ハワイ島ヒロで結成され今年で25周年といいますから相当のベテラン。ヒロと言えば真っ先に浮かぶのがナー・パラパライの3人ですが、彼らのデビューよりももっと前から活動していたのですね。このたび2005年にデビュー盤から15年の時を経て2作目をリリースしました。

一昨年エリック・クラプトンの「ワンダフル・トゥナイト」のカバーを先行シングルで出していたのが彼との出会いでした。
ピアノのありがちなイントロからはじまるこのカバーが、途中ウクレレが入ってくると俄然ハワイアンらしくなって、素朴ながらも切ない名演に仕上がっていて、アルバムを楽しみにしていました。
さて、ケヴィン、ジョー、テリイ、ジョンの4人からなるパアニ・ピラは、最近の若手が高めのファルセットを使って元気なフラソングをぱりっと歌うのに対して、のんびりと歌いたいように歌う自然な雰囲気が、なんともいい感じなんです。これは50過ぎのおじさんならではの枯れた味わいですね。例えるなら古くはカハウアヌ・レイク・トリオとか、もう少し新し目ならホーケナのようなトラディショナルなハワイアンに敬意を払いながらも自分たちのハワイアンの好きなように、そして風のように軽~く歌う自然な雰囲気が気持ちいい演奏です。定番「ワヒネ・イリケア」は彼らの魅力がすべて詰まった1曲です。
あと、ウクレレが相当うまくて、どの曲でも大活躍。ジャケットにウクレレをあしらうのも納得です。
ベテランダンサーには最近のバンドにはない落ち着いたテンポに踊りやすさを感じていただけると思います。2曲ほどあるレゲエ調の軽いナンバーはケイキにおすすめです。
❖❖❖ ひとことアロハコラム ❖❖❖
僕の住む横浜、磯子の山寄りのエリアは「ゆず」のお二人が生まれ育った場所としてファンの間では有名です。偶然だと思いますが、庭にゆずの木があるお宅が多くて、近所のお宅にも立派なゆずの木があって、毎年高齢の家主さんに頼まれて収穫を手伝うと、お礼にとバケツ一杯のゆずの実をくださいます。そういうわけでわが家は冬至のあたりから、しばらくの間ほぼ毎晩ゆず湯に入っています。そのせいかあまり風邪をひきません。ゆずの鮮やかな黄色と鮮烈な香り。冬の小さな楽しみです。
ハワイ好きには春はなく、2月が終わればそのまま夏になるとずっと言い続けてきました。間違ってないですよね? とにかく、あと少しの寒い冬を楽しみましょう。珈琲も、日本酒もこの時期が一番おいしいです。
今回のアルバムから2曲がスポティファイで試聴できますよ!
PA’ANI PILA