NATALIE AI KAMAUU / I
ナタリー・アイ・カマウウ / イ
(ハワイ盤 KLI 1655)
ナタリー・アイ・カマウウは1990年のミス・アロハ・フラにも輝いた人。そうハラウ・フラ・オナラ率いるオラナ・アイの長女です。
ソロとして出したデビュー盤“エ”はほんとに素晴らしいアルバムでした。彼女の魅力、それはまず声。高音は高く澄み、低音はパンチが効いてる(古い表現ですみません)。お父さんであるハワード・アイもミュージシャンで先日CD出したけど、このセンスを受け継いだんですね、きっと。
このアルバム2006年ナホク賞のベスト女性ボーカリストを受賞という最高の形でフィニッシュ。最近はちょくちょく日本にも来ているからライブに接した人を中心にファンが増えています。そしてこの年の瀬に、待望久しい新作が届きました。ジャケットには初回盤だけ別のケースが付いていて、ピンクのレイをした美しい彼女のアップを見ることができますから買うならお早めに。
さて今回もバックは彼女のご主人であるイオラニがナタリーとともにプロデュースしながらギターとウクレレを担当し、弟のチャドがベースを弾いています。前回ゴージャスなピアノを弾いていたアーロン・サラは入っていなません(アーロンはライアテアとのツアーその他で忙しかったんでしょう)。
前作はものすごく作りこんだ印象があったけど、今回は身内とじっくりゆっくり録ったようで、そのぶん音もどこかのんびりした印象を受けます。ある意味完璧だった前作よりもよりリアルな彼女の姿が映し出されているのかもしれません。
僕が気に入ったのはまず1曲目“E Ala E”は得意のチャント。ビートルズの“ヒア・カム・ザ・サン”を引用したイントロに導かれて徐々に深みに引きずり込む得意のパターン。好きだなーこの人のチャント。あの美声で唸られちゃうと弱いです。
続く“Ka Wai Mukiki”はペレとヒイアカをモチーフにしたせつないバラード。イオラニのギター一本でしっかり聞かせます。
3曲目はケイシー・オルセンのスティール・ギターを前面に出したアップテンポのいかにもナタリーというノリのいい曲。こんな具合にアルバムはとっても高いレヴェルの曲が最後まで続きます。
話は変わりますが、僕は仕事柄、日本のいわゆるJ-POPをたくさん扱いますが、彼らがちょっと気の毒なのは、次から次へと曲を書きCDをリリースしなければならないこと。そういうことで言えば、このナタリーは前のアルバムから2年をかけて曲を作り、録音して最高のアルバムを作っている。確かにハワイと日本でしか売れない音楽だけど、本人はたぶんきっとこの音楽にも、もっと言うと人生にも満足していると思う。日本のアーチストにもそんな時間があれば状況は変わるんだろうな…なんてことをちょっと考えさせてくれた1枚でもありました。
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ひとこと“アロハ”コラム:
ハワイと同じくらいの勢いでサッカーにはまっています。毎週のようにスタジアムにも通っています。サッカーの世界にアロハな物を見出すことはあまりないけど(例えば、レインスプナーのバックを持っている人がいるとか、かっこいいアロハ着ている人がよくいるとか…)、午後の柔らかい日差しに輝く芝の緑は、海の青とは違うけど、同じような強い癒しのオーラを放っていて、とってもくつろいだ気持ちになります。だから試合が始まるずっと前に席に着いて、イズラエルなんか聴きながらサーモスに入れてきたコーヒーでオレオをつまんだりしながら過ごすのが好きなんです。サポートしているチームには勝ってほしいんだけど、負けてもどこか爽やかな気分で駅までの坂道を下ります。