JAKE SHIMABUKURO / ACROSS THE UNIVERS
ジェイク・シマブクロ / アクロス・ザ・ユニヴァース
(SONY)
正直に言うと、僕はジェイクの早弾きにはぜんぜん興味がない。早く弾けば弾くほど引いてしまうんです。メディアでの取り上げ方もジェイク、イコール、ウクレレの上手い人、とっても速く弾ける人ってことがフューチャーされていた時期があって、本人もアルバムでは必ず何曲か、超絶テク満載の曲を入れていました。本人もなんか違和感あったんじゃないのかなぁ? もちろん僕もそんな彼が見てみたくてコンサートにも行きましたけどね。
でも、“フラガール”あたりからジェイクのスタイルが変わってきている。スローな曲が増えたし、そのプレイは、こみ上げてくる感情をグッと抑えて、溜めて溜めてやっとひとつの音をピッキングするような感じに。そう、“泣き”ってやつですね。そんなジェイクがルーツである、全曲ビートルズのカヴァーというアルバムを完成し、3月18日にリリース。
ぶっ飛んだのは1曲目、“アクロス・ザ・ユニヴァース”で聴ける渋い女性のヴォーカル。シンディ・ローパーだったんですね。彼女がジェイクのファンだったってことで実現したこのコラボ、聴いてもらうしかないんだけど、かなりいいです!
ウクレレ1本の伴奏でここまで聴かせるボーカル、さすがベテラン、曲全体にものすごいオーラが出ちゃってて、ちょっとやばいくらい。
その他“ノルウェイの森”“イェスタディ”などお馴染みの旋律も彼のウクレレにかかるとまるで新しい曲に出会ったような新鮮さがある。今回改めて感じたのは、これ全部4弦のウクレレでやっているってこと。ジェイクみたいに速く弾ける人はたくさん出てきたけど、ジェイクはもうそこには居なくて、次のステージに来ちゃってるって感じ。いくら払ってもいいから小さなところで、じっくり聴いてみたいなぁ。
ひとこと“アロハ”コラム
僕の本『aloha! ハワイアンCD132選』の表紙の写真のカメラマンであり、ヘビーなタワーのユーザーでもあり、友人でもある野寺治孝さんの写真展“many classic moments”にお邪魔してきました。彼としては久しぶりのハワイロケを敢行して撮ってきたものがたぶん30点くらい厳選されていました。強いコントラストとまるで自分がそこにいるかのようなドラマ性、ストーリー性に満ちた作風は以前と同じく強烈なんだけど、今回はどこかもの悲しさを感じる写真が印象に残りました。 “ダーク”ってことではないけれど、“メロー”というのともちょっと違う不思議なトーンのハワイ島が素敵でした。 この写真展はすでに終わりましたが、HPで少し見ること出来ますのでよかったらどうぞ!
◎野寺治孝さん公式サイト http://www.nodera.jp/hawaii.html