コラムコラム

第12回 10月15日オアフ島地震

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ドールプランテーションのパイナップルドールプランテーションのパイナップル

10月15日、午前7時7分(日本時間10月16日午前2時7分)、ハワイ島沖を震源とするマグニチュード6.7の地震が発生しました。幸いにも死傷者の報告はなく深刻な被害には及びませんでした。第12回を迎える今回は、この日、私が体験したこと考えたことをみなさんにお話ししたいと思います。
私はある雑誌の取材でノースにあるパイナップル畑とコーヒー園の撮影のため午前6時にホテルを出発しました。前日の天気予報では天候が崩れると伝えられていましたが、締め切りがあったので駄目もとで向かいことにしました。途中、やはり大雨に見舞われ、目的地に着いても天気は回復せず、残念ではありましたが撮影をあきらめざるを負えませんでした。そして、朝から何も食べていなかった私ので、朝食を取るためハレイワのノースショア・マーケットプレイスに入ることにしました。

コーヒーショップに入ると、何か様子がおかしいのです。店内は停電していて若い女性店員がなにやらおびえています。私たちは、車で走行中でまったく気づきませんでしたが、このときはすでに地震が起きた後で、激しい揺れがあったと聞き、やっと状況を把握したのでした。

同じくドールプランテーションのコーヒー豆ドールプランテーションになるコーヒー豆
それから1日、ずっと電気が無い生活でした。しかし、撮影でお世話になったドールプランテーションの方々の働き振りは素晴らしいものでした。ガスバーナーを使って温かい食事を提供してくださったり、レジが使えないので、全て手作業で仕事をしていました。電話も携帯も一切使えなくなり、唯一の情報収集手段は車のラジオでした。ドールプランテーションの中では停電のため「ワイキキは水が無くなる恐れがあるので水や食物を確保した方が良い」と、日本人観光客に向けて連絡が入っていました。

結局、この時はパイナップル畑とコーヒー園の撮影ができなかったので、物撮り(物だけを撮る事)だけで終えることになりました。幸い撮影中は、大雨にならず、ほんのり光も差していました。ピーカンではなかったのが残念ですが、欲ばってはいけませんね。私は何かに守られているのを強烈に感じました。

ランチをご馳走になってから、帰路につくため、ホノルルに向かってハイウエーを下りると、停電のため信号機が作動していません。一瞬、戸惑いましたが、何とか通過。このような時でも混乱状態にならないハワイの人は礼儀正しいと思いました。こういうときに国民性が出ると思います。そして、日本から来たスタッフの方々もパニックを起こさずにとても冷静でした。

実は、ホテルに戻った後、トイレに行ったら、電気がつかず真暗だったので、不注意にも現金が150ドルくらい入ったファイルを失くしてしまいました。思いっきりへこみました。現金が入っているし出てこないかな~?と半ばあきらめつつもセキュリティーに申請を出したところ、なんと2日目に現金が全て入ったままもど戻ってきました。

地震の時は現金しか使えないので困り果て、でももうとっくに使われているだろうと諦めかけていたのに……。届けてくれた心優しい方に心から感謝です。そして、今回のアクシデントを経験し、今生きているこの1分1秒は、とても大切な時間なのだと、改めて気づかされました。何が起きてもおかしくないのかもしれません。私たちの住むこの地球は刻々と変化し続け、呼吸し続けています。この地球に生かされている私たち人間は、植物、雨、太陽、月、そしてこの大地に心から感謝の気持ちを捧げ、ありがとう、という気持ちを地球に返してあげなければいけないと思います。資源を大切にし、次の世代へと手渡していかなければならないと思います。

もうひとつ、今回の取材で悲しい現実に出くわし、みなさんに伝えたいことがあります。 今回のタロ畑の取材は、『素敵なフラスタイルNo.16』最新刊の「ロコスタイルでいこう(22P)」で登場したハワイ語学校の先生、ダニエルさんに協力をお願いしました。

ワイアホレのタロ畑ワイアホレのタロ畑

ダニエルさんは仲間と共に、オアフ島の北東にあるワイアホレという所にあるタロ畑を週に1回、ボランティアで、川を渡って掃除をしています。この場所は聖地でした。昔からハワイアンたちによって水耕栽培が行われていた所で、農薬を一切使わずに山から流れてきた水を畑に流し込み、きれいな真水で栽培が行われている貴重な畑です。

しかし現在州政府の管理下にあるため、ダニエルさんたちの行動は違法行為になります。政府は建前上、土地を管理し守っている姿勢を見せていますが、リゾートエリアに使いたいのが本音でしょう。こうしたことはカウアイ島のハナレイポイ、マウイ島のカハクロア、モロカイ島のフィッシュポンド、そして、オアフ島のワイアホレでもありました。全て同じ理由で消滅の危機にあり、ハワイアンの主食であったタロは激減してしまうかもしれません。政府こそ、ハワイの文化を守るべきなのに……。

今回の地震でとても強く感じたことは「住んでいる土地に愛を」という気持ちです。そこに住み、素晴らしいエネルギーをもらっているのに、ないがしろにして良いのでしょうか?生意気ですが、フラを習っている者として、ハワイ文化を学ばせて頂いている日本人として、切実な問題だと感じています。

いったいどうしたらよいと思いますか?みなさんも考えてみてください。そして良い意見があったらぜひ教えてください。