コラムコラム

第2回 思い出のラハイナ

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以前ハワイがまだ見ぬあこがれの地だった頃に僕が絶対に行きたいと思っていた場所はオアフ島のノースショアとマウイ島のラハイナだった。ノースショアは波乗りをしていたのであこがれがあり、ラハイナに行きたかったきっかけは大好きなミュージシャン‘ロギンズ&メッシーナ’が歌っていたズバリ‘ラハイナ’という曲だ。「ラハイナはサトウキビが育ち、ラハイナはのんびり暮らしている、そしてラハイナはマンゴが甘い」という内容のユニークな歌詞やスカのルズムの明るい曲調でラハイナに行ってみたいという衝動にかられていた。その後、数えきれないくらいノースショアとラハイナは通いつめた。

そして91年ラハイナを訪れていた時、偶然山から登ったばかりのフルムーンに遭遇し、その月の美しさと大きさ、幻想的な雰囲気に感動し絵を描きたくなり帰国後すぐに筆をとり、それがきっかけで今の仕事に至っている。
そんなラハイナのフルムーンの絵を今年再び描いてみたくなり、じっくりと時間をかけてキャンバスに描いてみた。
ラハイナのイメージといえばランドマークでもある1901年にオープンしたパイオニア・インと鯨博物館になっているカーサジニアン号だ。僕は今までに何枚も描いているが残念ながら現在この二つの組み合わせは見ることができない。
カーサジニアン号は老朽化のため数年前にラハイナ沖に沈められ今では漁礁になっている。
以前、ホノルルマガジンで沈められているカーサジニアン号の様子の写真を見たが濃いブルーの世界の中に役目を終えた船体が幻想的に映って見えた。
月夜に照らされたラハイナ・ハーバーを描いたこの作品は‘Po Mahina’(月明かり)とタイトルをつけた。もちろんパイオニア・インとカーサジニアン号も入っている。

冬になると出産、子育てのため波穏やかなマウイ、ラナイ、モロカイ島に囲まれたこの海域には昔から多くのザトウクジラがやって来た。そのためラハイナは一時捕鯨の拠点として栄え今でもその面影を残している場所がたくさんある。このハーバーからは冬になると多くのホエール・ウォッチング船が出港していて僕も何度もホエール・ウォッチング船に乗り間近でみるザトウクジラのパフォーマンスに感動し声を上げたものだった。水中マイクによるクジラの歌も神秘的な感覚を覚えた。いつも様々な感動を与えてくれる僕の好きラハイナの風景をこれからも描いていくつもりだ。