コラムコラム

第7回 Hale Jacaranda

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マウイ島のハレアカラ山麓では春になると薄い紫色の花をつけた木を数多く見ることができる。まるで日本で桜が満開になった頃の光景に似ている。地面に落ちた花びらは紫の絨毯を敷き詰めた様に美しい。その花の名は‘ジャカランダ’だ。

南アメリカ原産の木だがハワイ諸島の高地では春から初夏に多く見ることができる。
最も多く見られるのはマウイ島のクラからウルパラクアにかけてだ。ハワイ島ではコナ南部の高地を走る19号線付近で沢山見ることが出来る。オアフ島でも内陸のカメハメハ・ハイウェイ沿いで数は少ないが見ることが出来る。
でもはやり僕はハレアカラ山麓のクラ付近で牧草の緑の中で映えるジャカランダが周りの風景にマッチしていてとても好きだ。

ジャカランダの並木をドライブすると紫のトンネルの中を走っているような感覚だ。
『Hale Jacaranda』(ジャカランダの家)と題した絵は満月の夜、ハレアカラ山頂付近から昇ってくる月に照らし出されたジャカランダが紫をさらに浮かびあがらせ妖艶な雰囲気を作り出している様子を描いてみたものだ。

僕の絵にしては南国ぽくないので少し異色だと言われたけどそれも僕の好きなハワイの風景の一つだ。冷やりとした澄んだ空気の中、月の明かりもさらに増しくっきりとジャカランダの影ができる。クラは皆が想像している南国ハワイのイメージとは違い朝晩は寒く暖炉が必要な場所だ。霧でかすむ牧場の風景は北海道を彷彿させる。

しかし眼下にはマウイならではの色の濃い青い海が広がりワイレア~キヘイにかけてゴルフ場のあるリゾート地を見るとやはりここはハワイなんだと実感できる。
このクラの風景もハワイの中の一つなんだと思うと様々な顔を持つハワイの奥深さにどんどんはまっていってしまう。だから僕はハワイをいつまでも描き続けていきたいと思うのだ。