‘Tiki Village’とタイトルをつけたこの絵はエキゾティックサウンドの大御所マーディン・デニーのアルバム‘Forbidden Island’(禁断の島)のアルバムジャケットからインスピレーションを受けて描いたものだ。
1950年代にハワイで誕生した ‘エキゾティックサウンド’とはマリンバ、ピアノ、 ビブラフォンと打楽器が中心になり構成された無国籍な熱帯サウンドだ。
バックには鳥や猿などの鳴き声が入っていてジャングルの雰囲気もかもし出している。
このサウンドの創始者はマーティン・デニーとアーサー・ライマンだ。ラテン、カリビアン、アフリカン、アジアンといった音楽にジャズやハワイアンがミックスされたとても不思議なサウンドの魔力に一度はまってしまうと抜けだすことができない。
アルバムジャケットには必ずエキゾティックで妖艶な姿の南国風女性が登場しビジュアル面にもこだわりを感じる。また有名なミュージシャンやハリウッドスターなど世界の著名人にもエキゾティックサウンドのファンはたくさんいると聞いている。南太平洋の作者でもある作家のジェームズ・ミッチェナーもライブに通っていた一人だ。そして僕もこのサウンドの虜になった一人だ。
一時は忘れ去られていたこの魅力的なサウンドも97年に‘Don Tiki’というアルバムのリリースで復活を果たし、ティキブームや多くのティキバーの復活とともに再び注目を集めるようになってきた。同タイトルのライブも開催され常に白人観光客で賑わっている。
僕も運よくこのドンティキ・ショーを見ることができた。そして昔のハワイにタイムスリップしたような感覚に陥った。 遠い過去の南国に引き込まれていくようなエキゾティックサウンドはこれからやってくる暑い季節の熱帯夜に無性に聞きたくなる。
古き良きハワイの夜のイメージとしてエキゾティックサウンドが僕の頭の中を流れる。
そのイメージが頭のなかで確立されたときにヒロクメの新しいアートの世界も誕生すると思っている。
そしてこの原稿を書いている今も、もちろんマーティン・デニーを聴いている。