ハワイ諸島では珍しくエメラルドグリーンの遠浅の海をもつラニカイ・ビーチ。 オアフ島東海岸に位置するこの美しいビーチを気に入って訪れる観光客も多いが、住宅地にあり駐車場が無いせいか隣のカイルア・ビーチに比べると比較的空いている。
表通りからビーチに抜ける9つの小道は熱帯の木々が連なりどれも絵のような構図で僕のお気に入りの場所だ。
Lanikai Wahine(ラニカイ・ワヒネ)と題した絵は、快晴のラニカイ・ビーチのハワイらしい風景の中に島の女性(Wahine)を両サイドにデザイン的に配置した1枚だ。パステルカラーを中心に使い、女性の周りにはトロピカル植物を描いて南国の雰囲気を作り出してみた。
実はこの構図にはモデルになった1枚の絵がある。
バリ島ウブドゥのネカ美術館に展示してあるバリ絵画のウブドゥ・スタイルといわれているパステルカラーで描かれたバリの日常生活を描いたDEWA PUTU BEDILの作品のイメージなのだ。ドイツ人画家でバリ島の生活に深く溶け込んで芸術家達に遠近法を教え、島の人々から慕われていたウォルター・シュピースの絵がもともと僕は好きでバリ絵画にしだいに魅せられていったのだった。
バリ絵画は独特な構図を持ち色数が少なく地味な感じだが、日本画のような侘びさびを感じさせてくれて、熱帯の影の雰囲気を作りあげているように僕は思っている。今でもシュピース初めバリのアーティストからは色々なインスピレーションを得ている。
他に僕はゴーギャンやアンリ・ルソーなど熱帯を描いた絵も好きで、以前から構図や配色など、研究とは大げさだが模写したりしていた。 特に日本画や浮世絵は子供の頃から好きで、空間をうまく使った構図の面ではかなりのヒントを得ている。ゴーギャンなど印象派と言われている画家達が浮世絵の構図を参考にしているのもわかるような気がする。
僕の絵のルーツが日本画やバリ絵画にあると感じとっていただけたら嬉しいと思っている。