南太平洋に位置する緑の深いタヒチ島。その北部にあるティアレイ(Tiarei)村の奥に熱帯ジャングルに囲まれた美しいファアルマイの滝(Cascaeles de Fa’arumai)がある。
波の荒い海岸沿いから山側に入りティアレイ村の中の細い道をゆっくりと進んでいくと高い崖から滝が落ちているのが見え隠れする。
滝の周りにはウル(パンの木)、ココヤシ、ティ・リーフ、シダなど様々な熱帯植物が覆い茂っている。トロピカル・ウォーターフォールは僕にとって常にキャンバスに描きたくなるアイテムの一つだ。
ファアルマイの滝
滝で水浴びをする耳にティアレの花をつけたローカルのタヒチアン・ワヒネ(女性)。
描いているうちに遠い過去のゴーギャンが見た時代のタヒチへのイメージはどんどん僕の頭の中に広がっていく。
僕はハワイでも滝をめぐる旅をするのが好きでマウイ島のハナ・コーストやビッグアイランドのハマクア・コーストを訪れる。やはりタヒチでも滝の存在を知りわくわくする想いと共に車を走らせたのだ。
この‘ファアルマイの滝’の絵のイメージが出来上がったのはマウイ島の画材屋で見つけた細長いキャンバスとの出会いがきっかけだった。
外国の人はこの細長いキヤンバスをほとんど横に描いて使用しているが、日本人である僕には掛け軸の感覚で、キャンバスを見た時から縦に使用するのが自然と思っていたのだ。
常に好きな日本画の数々見ているので、自然に縦に描くという感覚が自然に身についていたのと思う。そしてこの縦のキャンバスに滝を描くことは自然な流れだった。
ハワイの原風景といわれているタヒチ。
この目で実際に見て失われた‘古き良きハワイ’はタヒチには確かに今でも存在しているように思えた。ゆえにタヒチに惹かれてしまうのだと思った。