コラムコラム

第16回 楽園の夜明け。

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‘楽園の夜明け’とタイトルをつけた1枚の絵。

この絵は10年ほど前に描いたもので当時僕の頭の中にあったハワイの楽園のイメージそのものだった。沖に見えるカウアイ島を思わせる切り立った山から昇る朝日に照らされたビーチで熱帯植物に囲まれ、カラフルなトロピカルフルーツをもったパレオ姿の二人の現地の女性がほほ笑んでいる。このイメージこそキャプテンクックがタヒチ、ハワイを訪れて以降の大航海時代のヨーロッパ人が思い描く楽園の姿だったのだろう。

楽園とは……人によってとらえ方が違うのは当然だが、多くの人が思う楽園のイメージは青い空、エメラルドクリーンの海、風になびくヤシの木、美しく色とりどりの熱帯の花など・・南の島のイメージなのではないだろうか。
実際に僕の中のイメージも最近まではそうであった。
僕は楽園のイメージを表現するアーティストとして、ここ数年個展のタイトルも‘楽園の○○’としている。
辞書では‘楽園’=‘悩みも苦しみも無い幸福に満ちた場所’と記している。

しかし最近、色々な場所を訪れるようになって世界中のどの場所であっても自分が楽園と感じた場所こそが楽園なのだと思うようになってきた。

2年前から沖縄、昨年はタヒチを描き、今年は京都を描いている。
以前から好きな場所だった京都は、ここ数年仕事などで何度も訪れる機会が増え、来るたびに京都の文化の奥深さに惹かれ、ある時、東山から昇った満月を見てハワイ、タヒチ同様僕の中での楽園を感じ、絵のイメージが次々と湧いてきたのだ。
だから僕はこれからも心で感動する楽園を描き続けるつもりだ。
そして僕が次に出合い描く楽園はどこなのだろうと自分でも楽しみである。