1982年にリリースしたマイケル・フランクスのアルバム‘愛のオブジェ’に♪タヒチアン・ムーン(Tahitian Moon)というバラードが収められている。
島の美しい娘と過ごした夢のようなタヒチの日々と別れが歌われている。
まるでゴーギャンがタヒチで過ごした時代の出来事を歌にしているようだ。
ジャケットにもゴーギャンの絵が使用されていて、さらにタヒチのイメージを盛り上げている。
その♪タヒチアン・ムーンの歌詞に触発され絵にしたものが、歌のタイトルと同じ‘Tahitian Moon’だ。
美しいフルムーンのもとで水浴びを終えてリラックスした島の娘を描いたもので、甘い南国の香りがする様な……感覚を抱いてもらえれば嬉しい。
この絵は全てが僕の想像による1枚だ。
タヒチ島は数々の滝や川、泉が存在し、水のある場所では島の人達が水浴びをしている光景を目にする。
それはゴーギャンの絵の中でも描かれている100年以上前の姿と同じだと思った。
サモセット・モームの短編小説「南太平洋」でも、当時の島の人々の生活は細かく表現されているので、映像が克明に頭の中に浮かんでくる。
タヒチにはハワイの原風景がまだ残っていると言われている。
大規模な開発のないタヒチ諸島には、ゴーギャンやモームが描いた時代のタヒチがまだまだ見ることができて、古き良きハワイのイメージを探し求めている僕にとっては、写真を撮るのにとっておきの場所だと思っている。
熱帯の植物は大きく育ち、花々は辺りに甘い香りを放っている。
波静かなエメラルドブルーのラグーンにはカラフルなトロピカルフィッシュが沢山泳いでいる。
美しいサンセットはオレンジ、ピンク、紫と刻々と空の色を変えてゆく。
天の川が横切る満点の星空。大きく明るく輝く満月。
そのどれをとっても素晴らしい大自然を感じ取ることができ、思い出すたびに絵のイメージは頭の中に出来上がってくる。新作を楽しみに。