コラムコラム

第24回 Halemaumau

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火の女神ペレの住み家とされているハワイ島キラウエア火山のハレマウマウ火口。
霧に包まれることが多い火口周辺は荘厳な雰囲気が漂い、神話の中に登場する神々が目の前に現れてくるような特別な空気が流れている感覚を覚える場所でもある。
おもしろいことに火口の周辺ではジンのビンをよく見かける。それは火口を見下ろすホテル‘ボルケーノ・ハウス’のオーナだったアンクル・ジョージがペレの怒りを抑えるために噴火した火口にジンを投げ入れたことが始まりだったと聞く。

‘Halemaumau’(ハレマウマウ)はハレマウマウの火口でペレに捧げるフラを描いた1枚だ。そこに描いた花はハワイ島の島花でもあり真黒な溶岩大地に咲くオヒア・レフアだ。
ハワイ島でよく見かけるペレの絵に描かれている真っ赤なレフアの花で作られたレイはとても美しく力強く感じられる。
ペレによって引き裂かれた悲愛の伝説の主人公、オヒアの木に咲くレフア。
レフアの花を摘んだらオヒアが悲しんで雨を降らせると言われている。
遠くに霞む山はマウナロアだ。マウナロアの山中もまた特別な空気が流れているような感覚を与えてくれる。実際に僕自身、無風の山の中、オヒアの古木の前で突然風が吹き抜け、鳥肌とともに何かを感じたような不思議な体験を幾度かしたことがある。
ハワイ島にはパーワースポットと呼ばれている場所が点在している。
ハマクアコースト最北端のワイピオ・バレー、コナコースト南キャプテンクックのプウホヌア・オ・ホナウナウ、太平洋最高峰マウナケア、マウナロア、そしてこのキラウエア火山だ。
僕はキラウエア火山全体の空気感とハワイ島の壮大さを表現したくてこの絵を描いた。
ペレのイメージを描くうえで欠かせない真黒な溶岩大地と真っ赤な溶岩流、オヒアと真っ赤なレフアの花、ペレに捧げるフラ。
心で感じる神聖な気持ちをこれからも表現していきたいと思う。