コラムコラム

第28回 Hale North Shore

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毎年冬になると、オアフ島北海岸ノースショアには北の海から大波がやって来る。
アリューシャン列島で起こった嵐のうねりが長い旅をして、太平洋の真ん中に位置するハワイ諸島にたどりつくのだ。
そして浅いリーフに乗り上げて大波になる。
大波は砕ける瞬間、サーフィン映画のスクリーンで見るスローモーションの様な感じさえする。そんな光景と波音をいつも目の当たりにできる部屋はだれもが憧れる場所だ。
そして窓からノースショアの海が目の前に見える理想の部屋を想像して描いたのが‘Hale North Shore’(ノースショアの家)だ。

パステルグリーンに塗られた部屋の中には籐で作られた50年代の椅子やランプなど僕の好きなオールドハワイアンのアイテムがディスプレイされている。
机の上のメイド・イン・ジャパンのフラガール人形も50年代のもの。
その横に飾られている絵は僕が描いたサーファーガールの絵だ。

窓の外、目の前はパイプライン・マスターズというサーフィン世界大会が開催される場所だ。サーフポイントが近いのでビーチからもサーフィンがよく見えてギャラリーにとってもメジャーなポイントだ。
彼方に見えるのはノースショアにいればどこからでも見ることが出来るカエナ岬だ。
カエナは岬の先端からハワイアンの魂が飛び立つと古代から言い伝えられている神聖なる場所だ。夜になると海に飛び立つ光の列を見た人が昔は何人もいたそうだ。

ノースショアという言葉に憧れ、通い続けて20年以上。初めて訪れた時、ワイキキとまったく違うのどかな町ハレイワ(Haleiwa)は懐かしい気持ちにさせてくれた。
日系の人達が多く住んでいて、日本語の屋号の店が多いのでそう思ったのだと思う。
今でもオアフ島に来ると必ず幾度か訪れる僕のお気に入りの場所だ。
長年ノースショアの移り変わりを撮影したポジフィルムは、今では膨大な数になっている。
ノースショアの絵も写真の数に追いつけるように、これからまだまだ描いていくつもりだ。