「~ああ 憧れのハワイ航路……」という曲のサビは、日本人ならば誰もが一度は耳にしたことがあるでしょう。もはやハワイは遠く思うだけの国…ではなく、ちょっとお金を貯めてタイミングさえつかめば誰でも行ける南国のパラダイス。
ですが、この曲が流行ったのは、戦争の記憶もまだ生々しい1948年。岡晴夫・歌、石本美由紀・作詞、江口夜詩・作曲の「憧れのハワイ航路」が大ヒット。これを受けて同名の映画が公開されたのが1950年。すでに天才の誉れの高かった美空ひばりも同映画に出演しています。
以来、「ハワイ」といえば「憧れ」の枕詞がセットになり、日本人の意識に深く刻み込まれることとなりました。そして、この曲を知っている世代が長らく日本のフラ(フラ・ダンス)を牽引してきました。「フラダンス」といえば、中高年女性が着飾って踊るもの…というイメージが定着したのも無理もないことでしょう。
しかし、現在のフラは、かつてフラダンスと呼ばれた頃の踊りとは異なる流れが生まれています。ハワイへの憧れを憧れだけで終わらせない人が増えた今、フラの本場ハワイへ渡り、伝統を受け継ぐクムフラ(フラの師匠)の元に弟子入りして、本物のフラを学んできた人たちが中心になり、日本語でも英語でもない、ハワイ語によるホンモノのフラを教える日本人のインストラクターが徐々に増えてきたためです。
同時に学ぶ側も、「ハワイで初めてフラという踊りに触れて習いたい」と考える人が増えてきました。もちろん「健康のため」「友達に誘われて楽しそうだったたから」という理由で習う人も多数。つまり習う理由がさまざまであれば、フラ・ダンサーの年齢層もまた多彩で、中高年女性だけの趣味とはもはや言えません。
実際、『素敵なフラ・スタイル』の読者の年齢層を見ると納得いただけるでしょう。30代女性が全体の35%も占め、続いて40代、50代の方々が楽しんでいるのがわかります。また、お母さんやおばあちゃんに誘われて始めた子ども(ケイキ)も、最近は激増中。さすがに読者アンケートはがきの集計には現れてきませんが、それでも10歳の子から最高齢77歳の方も読んでくださっています。 もはやママとケイキ、おばあちゃんの3世代でフラ、は珍しくありません。パパやお兄ちゃんも加わって一家でフラ、もぜんぜんアリなのです。