コラムコラム

第1回 「Kahaluuカハルウ」

このエントリーをはてなブックマークに追加

‘クウ・ホメ・オ・カハルウ’(Ku,u Home O Kahaluu)はハワイのカントリー・サイドをイメージさせてくれる名曲だ。歌っているのは1976年にデビューアルバムをリリース、その後も数々の名曲を生み出し、1982年にはナ・ホク・ハノハノ・アワードを受賞するなど、現在でも活躍を続けるジェリー・サントス率いる‘オロマナ’(Olomana)だ。故郷カハルウへの切々とした想いを歌っているこの曲は現在でもハワイアン・ミュージック専門のFM局KINE 1051では毎日のようにオンエアーされるほどジェリー・サントスの代表曲だ。後に‘ハパ’(Hapa)をはじめ、何組かのミュージシャンによってカバーされている。
この曲に歌われている“カハルウ”(Kahaluu)とは、オアフ島東海岸のカネオヘ・ベイを見渡す位置にあり、コオラウの切り立った山並みと三角形の小さな島チャイナマンズ・ハット(Komoli,i Island)がカネオヘ・ベイのエメラルドグリーンの海越しに見ることができる緑豊かな土地だ。

■ ブルー&エメラルドグリーンの造形美

僕はカネオヘからカハルウまでの海沿いを走るカメハメハ・ハイウエィの風景が大好きで、ノースショア方面に向かうときは内陸側のカヘキリ・ハイウエィを使わず必ずこちらを通るようにしている。カネオヘの住宅街を過ぎると急に道の両側に熱帯樹木の緑が深くなり、木々の間からはエメラルドグリーンのカネオヘ・ベイが目に入ってくる。
カネオヘ・ベイへのツアーが次々と出航する‘ヘエイア・ピア’手前の高台は‘ヘエイア・ステイト・パーク’になっていて、僕はここからのパームツリー越しに見下ろす絵のような美しいカネオヘ・ベイの風景がとても好きである。ノースショアに高波警報が出ていても、このカネオヘ・ベイにはいつも穏やかな海が広がっている。引き潮の時間は真っ白な色をした砂州が海上に現れ、深いブルーとエメラルドグリーンとのコントラストが素晴らしい自然の造形美を見せてくれる。
ほとんど人のいない静なパークの駐車場には、大きなパンの木やモンステラなどの熱帯樹木があり、緑の匂いを感じ取ることができる。
このパークから先、右手に広がるカネオヘ・ベイの美しい風景を眺めながらのカハルウまでのドライブはとても気持ちが良い。海沿いの家の庭先には熱帯のカラフルな花々が咲き乱れ、目を楽しませてくれる。僕が以前から自分で目を付けていた、いくつかのカネオヘ・ベイを見渡せるお気に入りビュー・ポイントが道路沿いにある。それらの狭い路肩に注意して車を止め、刻々と移り変わってゆく海の色を眺めるときは、僕にとっての至福の時間だ。

■ コオラウ山脈の雲で天気予報

さらに車を走らすと、パームツリーが並んで植えられている土手の風景が右手の木々の間から見えてくる。ここがカハルウ・フィッシュポンド(Kahaluu Fishpond)だ。
‘マカハ・サンズ’の代表的なアルバム‘Kuikawa’のジャケット写真に、フィッシュポンド越しに見るカネオヘ・ベイの、まさにこの場所から見える風景が使われていた。
ここカハルウまで来るとカネオヘ・ベイ沿いのドライブも終わりだ。
坂を下ると1軒の古いジェネラル・ストアー(雑貨屋)が見えてくる。この場所がカヘキリ・ハイウエィとカメハメハ・ハイウエィが合流する地点だ。これから先、美しいオアフ島東海岸の景色が望めるノースショアに向けての一本道になる。
朝、ワイキキでコオラウ山脈の雲のかかり具合を見てウィンドワード地区の天気を予想してみる。山の上まではっきり見えたらカネオヘも晴れていると確信する。僕はリケリケ・ハイウエィを通りカネオヘを目指す。島の東側に出る手前にあるウィルソン・トンネルを抜けるときは、なぜか胸がワクワクする。そしてトンネルを抜けた瞬間、カネオヘ・ベイのエメラルドグリーンの美しいパノラマ風景が見られたらとても幸せな気分になれる。なぜならばカネオヘ・ベイの美しいエメラルドグリーンの海の色は青空がないと成立しないのだから。