古き良き楽園ハワイのイメージ。
今から50年以上前、旅客機もまだハワイに就航しておらず、ハワイへの旅は豪華客船で行く一部の裕福な人たちのものだった頃、観光ポスターや宣伝広告などほとんどが現在のように写真ではなく絵画やイラストで飾られていた。どれも見ているだけで“南国の楽園”を彷彿させられるようなデザインで、熱帯産のカラフルなフルーツや美しいレイを持った笑顔のフラガールが登場するものが多かった。
当時、メインランドの人たちはそのような広告などを見て、太平洋の真ん中にある楽園ハワイを夢見ていたのだろう。最近では、その頃のポスターや広告のオリジナルがアロハ・シャツとともに近年のハワイアン・アンティーク人気で注目され、再び当時のデザインが見直されるようになった。お土産のパッケージのデザインも、ここ数年変化を見せていて、特に1930~50年代のハワイ航路(船や飛行機)の広告やメニュー・カバー、ポスターなどの当時の美しいデザインをあしらったものが数多く出回っているのは僕同様‘古き良き楽園のイメージ’に憧れ、惹かれる人が増えているからだろう。お土産品以外でも、商品のラベルや出版物の表紙など、さまざまな公共の場でも当時のデザインを再現し、使用されるようになってきている。
今まではアロハ・シャツのみだったハワイアン・アンティークのレプリカも次々に商品化され、最近では家具、ポスター、フラガール・ランプなど、ハワイを訪れるたびに新しいレプリカ商品に出会えるのは、驚きである。当時のオリジナルになかなか出会えない、値段が高い、などの問題でレプリカが注目され始めたのは当然のことだと思う。
ハワイのアンティークについてもっと知りたいのなら『Hawaiiana The Best of Hawaiian Design』と『Aloha Spirit Hawaiian Art & Popular Design』(共に洋書・オールカラー)というハワイに関する広告、ポスター、メニュー、アロハ・シャツ、楽譜、ウクレレなど、ほとんどのハワイアン・アンティークを知ることができる本があるので参考になるはずだ。
そして、毎年2月と7月にホノルルのブレイズデール・エキシビジョン・ホールで行われている「Hawaii All-Collectors Show」に足を運んでみてはいかがだろう。主に、ハワイとメインランドのハワイアン・アンティークなどを扱う店が数多く出店し、掘り出し物探しには絶好の場所だ。さらに、ワイキキのアンティーク・モールなど各地のアンティーク・ショップに置かれているフリーペーパー「Hawaii Antiques」からイベントやショップなどの情報を集めることもお勧めしたい。
僕は毎回、レコード、ポスター、ウクレレ、などとテーマを決めてアンティーク・ショウに掘り出し物を探しに行き、今でも色あせることのない当時のデザインに自分の絵のイメージを見出してきた。僕の古い物だが新鮮に映る“楽園のデザイン”探索の旅はまだまだ終わりそうにない。