コラムコラム

第7回マウナケアは、誰のもの?

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Photo: Ku`uipo Freitas

ハワイ時間の2015年6月21日(日)、TMT建設者側は、4月上旬から中断されていた建設をいよいよ24日(水)の朝から再開すると発表しました。抗議団体からの声を受け、最高裁判所がTMT建設による文化的・環境的影響を再検討している最中のことでした。一部では、抗議運動の過激化を懸念するイゲ州知事により、建設者たちを警護するために武装した軍が配備されるとも報道されました。

もちろん24日は、早朝から多くの人がマウナケアに集まりました。大人も子どもも列を作り、それぞれの想いを胸に、強く、そして厳かに建設者と警察を待ち受けました。一度対面すると、すぐに人々はひしめき合い、声を荒らげる人も現れました。軍こそ配備されなかったものの、再び12人の逮捕者が出ました。今回の対立は、4月2日の時よりも熱を帯びていました。

抗議を続ける人たちは、マウナケアに関連する神々とつながり、また、マウナケアのエネルギーを高めるために、かつてたくさん存在したようなクアフ(祭壇)を石で築きました。そして、山頂へ続く道にも、石をいくつか置きました。

この行動は、建設者の安全性を脅かす行為として捉えられ、「建設者の身の安全を守るため」に、再び建設は中断されることになりました。次の再開予定は、公式な決定が下されるまで保留となります。州知事は、抗議団体の運動を、「Vandalism(野蛮な破壊行為)」と呼びました。

確かに「道路に石を置く」という行為だけを切り取ってみれば、反社会的な活動かも知れません。しかし、マウナケアと関係の深い人たちの声を聴かず、無理矢理に地下地上を併せて20階建て相当の巨大な建物を建設しようとする行為こそ、見方を変えればVandalismと捉えられるのではないでしょうか。

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出典:Uber Topic

 

マウナケアは誰のものなのでしょう。TMTは、多くの人の心を傷つけてまでも、どうしても必要なものなのでしょうか。ハワイでは各地で反対運動が強まり、クムフラなどの文化的指導者を先頭に、様々なイベントや集会が開かれています。マウナケアにいけない人たちも、それぞれの土地でフラやチャントを通し、ハワイの土地が守られることを願っています。