Amy Hanaiali’i
エイミー・ハナイアリイ
『シャルドネ』
(ハワイ盤)

「シャルドネ」、白ワインの代表種をタイトルにしてしまったエイミー。そのワイン好きは有名で、とうとうナパ・ヴァレーに自分の名前を付けたワインもプロデュースしたほどで、見開きジャケットの中にボトルのスナップがあります。彼女のウェブサイトにはワインのタブもあって、通販で買えるようになっています。でもちょっと高めでした。たしかに安くしてまで売る必要もないですものね。一度飲んでみたいものです。きっとエイミーの音楽のように、華やかで爽やか、でも濃厚で深い余韻を残す。そんなワインなんだろうなぁ。
さて今回は、エイミーらしいハワイアン・ナンバーはハワイっぽい曲も含めて「なし」なんです。一度作ってみたかったという完全なるポップアルバムをとうとう作ってしまったわけです。その立役者は、プロデューサーは80年代ルーファスのメンバーとして活躍して、ソロも出しているキーボード奏者マイケル・ラフ。この人のポップセンスが随所に光っていて、とってもセンスいいアルバムに仕上がりました。
たとえば2曲目の「エブリー・パート・オブ・ラブ」。
ここでは軽めのスティール・ギターを入れてカントリーっぽい演奏が冴えます。エイミーもこのバックを得てハワイアンの時より、さらにのびのびと歌っていて気持ちよさそう。
10曲目の「フォー・ザ・ラブ・オブ・ユー」では、まさにイケル・ラフのセンス炸裂。センスのいいキーボードとピアノのバックに、まるでシャルドネを2~3杯ひっかけて歌っているかのような、メロウでセクシーなエイミーがいます。
続く11曲目「リーブ・ザ・ライト・オン」は、こちらも宙を舞うようなキーボードと重厚なコーラスが印象的なR&Bナンバー。
前半は軽めですが、後半にいくほど濃厚。こんなエイミーもありです。
ハワイが生んだ名シンガーの新たな一歩、僕は自信持っておすすめしますよ。
もちろん聴くときはワインも添えて。
ひとこと“ALOHA”コラム:
しばらくお休みしていました。また春に向けて、いいアルバムをご案内して参ります。
今回のエイミーのように、ハワイにいながらハワイアン以外の音楽を作るのは自然のこと。あの空気に空に水。どんなジャンルの音楽にもそれが反映されるはずだし、各ジャンルに腕のいいミュージシャンはいるわけで、あまり積極的に録音しないだけのような気がします。特にジャズなんかは上手い人たくさんいそうですから、今後はそのあたりもマメにチェックしていきたいと思っています。